2020年5月26日火曜日

オンラインさんさん教室の記録08回「球の表面積を攻略する」 2020年05月26日クラス


オンラインさんさん教室の記録

学部4年 臼田 真優
オンラインさんさん教室の目的は以下の通りです。 この教育相談の狙いは,小学高学年から中学1年程度の内容を題材にして、オンラインでタブレットを用いた学習をする機会を定期的に持つことで、タブレットを用いた学習スキルの維持向上と、できれば学習への成功体験を積む中経験を通して、休校措置後の学校再開への自信を醸成することです。

そのために考えていること。
・活動中に、タブレットを活用した学習スキルの獲得、定着を促す場面を設ける。
 (漢字の読み仮名を振る場面、書きやすいサイズに拡大して書く場面、記録を残す場面等)
・家庭で揃えることができる道具を使った活動、短時間で授業者が準備できる内容にする。
・タブレットの操作については、事前学習ビデオなどで練習できる機会を設ける。
 (GoodNotesの操作練習等)
・事前に準備について告知することで、学習するために主体的に準備することの大切さを学ぶ機会を作る。
・見通しを持って主体的に活動できるようにワークブックを作成する。
・ワークブックの章立ては一貫した体裁となり、安心して取り組めるようにする。
・ワークブックは文字の説明と併せて写真等の画像を用い視覚化教材を用いる。
・教室の最後は、振り返りの場面を作り、学びを共有し、促進する。
・教室の後に、学びが次に繋がるように発展的な内容を織り込む。


8回目(5月26日実施)の様子を紹介します。
本日は、5人の方が参加してくれました。

1 事前:参加のための準備をしてもらいます。
事前に、以下のファイルをML経由で送って、準備してもらいます。



これまでの学習を活かし、
・メールを受信する。
・メール添付のPDFをGoodNotes5に入れる。
・漢字の読み方を調べて、読み仮名を書く。
を事前に各自で行えました。


2 オンライン学習支援(当日)


当日ターゲットとした合理的配慮としてのICTのスキル内容は、
・My Script Calculatorを使用して計算をする。
・My Script Calculatorでの計算をコピーしてGoodNotesに貼り付ける。
・ペンやキーボードなど、自分が文字を入力しやすい方法を選択して使用する。
・写真を撮影してGoodNotesに貼り付ける。
・URLをコピーしてSafariで貼り付け、動画を視聴する。
・動画を視聴しながらスクリーンショットを撮影する。
・スクリーンショットをGoodNotesに貼り付ける。
・応用問題を解いて,メール添付で送り返す。
です。

 これまでと同様に、Zoomを使用し、利用者には作業用iPadとZoom中継用のデバイスを準備して参加してもらいました。
授業者は、パソコンの拡張デスクトップをZoomでうつしました。そこに、iPadの画面(Reflectorで中継)や、書画カメラなどを写しました。
 また、Zoomの画面で今何をする時間かをイラストと文字で示しています。このイラストはiPadで出し、Reflectorで中継してうつしました。使用したイラストは、例えば右のようなイラストなどです。
 さらに、前回からOBSというアプリを使っています。このアプリで、画面共有する画面のレイアウトを編集したり写す画面を切り替えたりしました。



 本日の学習内容は「球の表面積を求める」という課題です。
オンラインでの授業に慣れてきた参加者が多いのか、本日の授業では、参加者がZoomのグッドで反応してくれることや、「待ってください」と自分の進捗具合を伝えてくれる場面も多く見られました。
最初に、GoodNotesでのページの差し替え作業を行いました。事前にファイルをPDFで送っており、参加者はGoodNotesに入れていましたが、今朝改良したページをPDFで送りました。GoodNotesは、PDFのページを消したり挿入したり順番を変えたりする作業ができますので、参加者が自分で活用できると良いと思います。
授業者は、参加者に「どう操作したらページを差し替えられるかな」と問いかけましたが、参加者からは解答がありませんでしたので、授業者が書画カメラで操作の様子を見せながら一緒に作業しました。

次に、右のプリントを見ながら事前課題の出来具合を確認しました。事前に答えまで考えられていた参加者も数人いたようです。
考えた式や答えを、参加者に聞きながら進めました。授業では、以下のようなやりとりをしました。一人の参加者と授業者だけでのやりとりにならないよう、他の参加者にも同じか尋ねるなどの関わり方をしています。
参加者A「式は、5×5×3.14で、78.5。」
授業者「答えはなんて書こう?」
参加者A「78.5cm」
授業者「ここ(指数を指して)は2でいいかな?面積だから、平方センチメートルだね」
授業者「他の皆さんもいいでしょうか同じですか?」
参加者B「はい。」
参加者C「3.14はπ」
授業者「そうだね、中学生はπだね」

















次に、右のプリントを見ながら、各自用意している球の直径を測りました。
授業者が実際に測り方を見せ、同じように参加者も作業しました。
測っている場面の様子は、各自写真を撮って記録しています。
少し時間をとったあと、授業者が「できたかな」と尋ねると、「待ってください」や、「あと少しです」などと反応してくれた参加者もいました。
できた人にはZoomで手をあげる機能を使ってもらい、授業者が把握できるようにしました。
















次に、動画を見ながら学習する方法を学びました。事前に送っている授業プリントには、動画のURLが貼ってありました。これをコピーして、各自で視聴する時間を設定しました。動画を視聴する際には、重要なところをスクリーンショットを撮りながらみて、後から見返す方法も紹介しました。
今回の動画は、円の面積の求め方についての動画と、球の表面積の求め方にについての動画の2本です。どちらも事前に授業者が作成し、YouTubeにアップしている動画です。
円の面積についての動画は以下のURLから視聴できます。

https://youtu.be/oOv4EwU4w1w


球の表面積についての動画は以下のURLから視聴できます。

https://youtu.be/JyK41ktnoW8

授業の進め方としては、まず円の面積についての動画を視聴してもらい、まとめる時間をとり、全員ができたことを確認してから球の表面積についての動画に進みました。

動画を観た後に、参加者は以下の3点について各自でまとめました。
①動画のタイトル
②何をどのように測っていたか
③紐で測った際の面積はいくつか
各自でまとめる活動は、3分間の時間を設定して、タイマーをZoomでうつし、残り時間が参加者も確認できるようにしました。
また、①②③のうち考える際の優先順位を示し、③から取り組むことを指示しました。

面積を求める際には、My Script Calculatorを使って計算しても良いこととしています。その場合には、iPadで画面分割をして表示すると便利であることを紹介し、その方法も説明しました。
また、My Script Calculatorは、複数の計算式を同時に表示ができることも伝えました。











次に、球の表面積と円の面積の関係について考えました。考える際には、授業者が「球の表面積は〇〇の△△倍」というように穴抜きで示し、考えやすくしました。
参加者は、「球の表面積は、円の面積の約4倍」と答えてくれました。

ここで、考える際の球と円の関係を考えました。
授業者が「球と円は何かが一緒でないといけません。何かな?」と尋ねると、参加者は「直径」と答えてくれました。
球と円の直径が同じであれば、球の表面積は円の面積の4倍になるということを確認しました。

次に、球の表面積を求める公式を考えました。各自で考える時間をとり、2分間でタイマーを設定しました。

考えた公式を発表してもらう場面では、以下のようなやりとりをしました。参加者二人の意見を合わせて、良い公式ができました。

参加者C「球の表面積は、円の面積×4」
授業「そうですね!円の面積はどうでしたっけ?」
参加者B「半径×半径×3.14、またはπ」









3 事後:以下のプリントに振り返りと応用を書き加えて、作成したファイルをメールで送ってもらいます。


 振り返りとして、球の表面積を求める式を自分の言葉でまとめる課題を提示しています。
 また、応用問題として、円柱の側面積と球の表面積を求める課題も提示しています。
 わからないことがあった場合には、お家の人に相談したり、メールで授業者に尋ねる方法も伝えました。





4 今後の予定

現時点で確定しているオンライン教室は、5月30日で最後ですが、6月以降も続けていきたいと考えています。参加者には、追ってアンケートに回答をお願いしようと思います。















2020年5月17日日曜日

オンラインさんさん教室の記録05回「お酢で化学実験」 2020年05月15日クラス (Online classroom records)


オンラインさんさん教室の記録

Online classroom records
Chemical experiment with vinegar
The English text is written below.
学部4年 臼田 真優
オンラインさんさん教室の目的は以下の通りです。
この教育相談の狙いは,小学高学年から中学1年程度の内容を題材にして、オンラインでタブレットを用いた学習をする機会を定期的に持つことで、タブレットを用いた学習スキルの維持向上と、できれば学習への成功体験を積む中経験を通して、休校措置後の学校再開への自信を醸成することです。


そのために考えていること。
・活動中に、タブレットを活用した学習スキルの獲得、定着を促す場面を設ける。
 (漢字の読み仮名を振る場面、書きやすいサイズに拡大して書く場面、記録を残す場面等)
・家庭で揃えることができる道具を使った活動、短時間で授業者が準備できる内容にする。
・タブレットの操作については、事前学習ビデオなどで練習できる機会を設ける。
 (GoodNotesの操作練習等)
・事前に準備について告知することで、学習するために主体的に準備することの大切さを学ぶ機会を作る。
・見通しを持って主体的に活動できるようにワークブックを作成する。
・ワークブックの章立ては一貫した体裁となり、安心して取り組めるようにする。
・ワークブックは文字の説明と併せて写真等の画像を用い視覚化教材を用いる。
・教室の最後は、振り返りの場面を作り、学びを共有し、促進する。
・教室の後に、学びが次に繋がるように発展的な内容を織り込む。



5回目(5月15日実施)の様子を紹介します。


1 事前:参加のための準備をしてもらいます。
事前に、以下のファイルをML経由で送って、準備してもらいます。


前回の学習を活かし、
・メールを受信する。
・メール添付のPDFをGoodNotes5に入れる。
を事前に各自で行えました。


2 オンライン学習支援(当日)


当日ターゲットとした合理的配慮としてのICTのスキル内容は、
・漢字の読み方を調べて、読み仮名を書く。
・動画を撮影して適切な場面を切り取る。
・スクリーンショットを撮って記録する。
・GoodNotesに写真を貼り付ける。
・応用問題を解いて,メール添付で送り返す。
です。



第1回と同様に、Zoomを使用し、利用者には作業用iPadとZoom中継用のデバイスを準備して参加してもらいました。
授業者は、パソコンの拡張デスクトップをZoomで画面共有しました。
そこに、iPadの画面(Reflectorで中継)や、書画カメラなどを写しました。

 今回の授業から、発言をしたい時には参加者が「(名前)です。」と言って、授業者が呼ぶと発言してもらうこととしました。

本日の学習内容は、「お酢を使って実験をしてみる」という課題です。今回の学習は様々な粉末を混ぜる実験をしますので、物によっては危険なものもあることを伝え、家庭で混ぜてみたいと思った時には保護者の方と一緒にすることを確認しました。

最初に、右のプリントを見ながら準備物を確認しました。
今回の準備物は少し多く、計量もあるので、準備したら◯を書き込めるようにプリントを工夫しています。◯は、GoodNotesの図形ツールを利用すると綺麗に描けることも紹介しました。
計量する際には、目線を合わせて平らなところで測ることも確認しました。
準備物を用意していき、できた人からZoomのグッドボタンで教えてもらいました。「ちょっと待ってください」と言える参加者もおり、素晴らしかったと思います。




次に、風船の中に重曹を入れ、ボトルの口に風船をつける作業をしました。授業者は書画カメラで写し、手続きがわかるようにしました。

実験を行う前に、記録方法について考えました。記録を撮る際は動画が良いのですが、動画を撮る際にiPadの画面を縦にするか横にするかを尋ねると、「縦!」という参加者がいました。「全体がうつるから」と、理由も明確にいうことができました。

実験をすると、「おぉー」と変化に興味を持っている様子でした。





次に、下のプリントを見て、
・ペットボトルに冷水を入れる。
・風船の口にストローを挿して、ストローの反対側を冷水のボトルに挿す。
・風船の口を徐々に緩めて、風船の中の気体をボトルに入れる。
・冷水のボトルの蓋を閉める。
・ボトルを振ってみる。
をしました。
操作を一人ですることが難しい参加者は、保護者の方と一緒にしてもらいました。
ここで、食用の重曹を使っていた参加者にはできた液体を飲んでみるように促しました。
参加者は、「炭酸水みたいな…。でも甘くない。」と言っていました。



ここで、記録にとっていた動画をつかって記録を整理しました。しかしGoodNotesには動画を貼り付ける機能はないので、授業者がどうしたら良いか問うと、「スクリーンショット」という参加者がいました。動画をゆっくり動かして適切な瞬間を切り抜く作業を、まずは授業者がやってみせました。やって見せる際にも、参加者にどのように操作すればよかったか問いかけながら行いました。参加者の中で作業のスピードに差が出てきましたので、記録の整理ができた人から"ペットボトルはどうなりましたか"、"何の味でしょう"という問い解答を書き込んでもらいました。




最後に、考察をしました。どうしてボトルがへこんだのかを考えました。
参加者からは、「炭酸」などの単語が出てきましたので、授業者が「へこんだってことは何かが減ったってことだよね。」「どこへ行ったのかな?」などと問いかけ、参加者の気づきや考えを文にしていきました。
全員で少し確認した後、参加者には各自でプリントに自分の言葉でまとめてもらいました。
全員が考えている時間は、Zoomで参加者全員をミュートに設定し、しっかり考える時間を確保しました。

各自で考えたあとに、全員で共有しました。
発表できる人は、Zoomの「手をあげる」機能を使って表明してもらいました。声で伝えることに抵抗感がある参加者には、書いたものを画面にうつしても良いこととしました。
参加者の一人は、考えたことを書き込んだiPadの画面を見せてくれました。文章で書いてありましたので、授業者がそれを読み上げて共有しました。さらに、同じ考えをしていた参加者にはZoomのグッドボタンを押してもらいました。

 その後、本日の授業の応用として、動画を見せました。動画は、瓶の中に溜まった二酸化炭素の影響で、瓶の中に入ったシャボン玉が落ちていかないことが確認できる映像です。動画は以下のURLから見れます。このURLはプリントにも書いてあるので、参加者は授業後に再度見ることもできます。
https://youtu.be/9yiW-ts_dkQ
 

今回の授業で用いた液体の処理方法について伝えて確認しました。また、さらに美味しい炭酸水を使りたい場合は、クエン酸を入れると良いことも紹介しました。最後に、混ぜる際には大人と一緒にやってみるということを再度確認して終了しました。
3 事後:以下のプリントに考察と応用を書き加えて、作成したファイルをメールで送ってもらいます。
今回の応用問題として、動画で見たシャボン玉が沈まなかったのはどうしてか、理由を考えてみることを提示しています。

リアクションペーパーより

















The purpose of the online classroom is to:

The aim of this class is to foster children's self-confidence through maintaining and improving their learning skills using tablets and experiencing successful experiences. To achieve this, we regularly have the opportunity to study online using tablets. ..

I will introduce the state of the 5th time (May 15th).
1 Preparation: Have participants prepare for participation.
In advance, send the file to be used in the class via ML. Students should read and prepare the materials.

UDBコンテンツ製作ビデオ(3種類)

UDBコンテンツ製作ビデオ

UDBコンテンツ製作方法をを3種類紹介します。それぞれにコンセプトが違うビデオです。もっとも,その場に適した方法を選択してみてください。

ビデオ1(学生に高校時代には実戦配備したい技術)
https://youtu.be/ekLw7HZg3Ok
WordファイルをiPadに送って,PDFとHTMLをUDBに送って利用する方法を解説しています。
学生が教師からメール添付などで送られてきたWordファイル(docx)使って,UDBの固定モード(PDF)と行移モード(HTML)で利用するためのミニマムな方法を解説しています。UDBなどを使って将来情報を入手することが想定される人は,高校段階では日常的に利用できる程度にしておくことが求められる技術です。その場合,自立活動などで特設で指導することにとどまらず,日常の授業でも教師がdocxをメールで生徒に送って利用するといった,「必然的」な活用場面を教育的に設定することが必要です。
PCで必要なアプリ
・MS-Word
iPadで必要なアプリ
・UDブラウザ
・Word

ビデオ2(教師が身につけたい技術)
https://youtu.be/GybemLvFmDg
パソコンを使って,UDBフルコンテンツ(HTML,PDF,JSON)を作る方法を解説しています。
教師がコンテンツをパソコン上で作ってUDBファイル(ZIP)にまとめて,学生に送って使ってもらうことを想定しています。一方でHTMLの知識をミニマムで製作できるよう,iPadのUDBを使ってHTMLに変換しています。
もちろん,弱視や発達障害のある学生で自身で作りたいという方ぜひトライしてください。
PCで必要なアプリ
・MS-Word
・テキストエディタ
iPadで必要なアプリ
・UDブラウザ
・Word

ビデオ3(iPadメインでUDBフルコンテンツを製作)
https://youtu.be/NuTUv0Vgnvw
パソコンでWord形式(docx)ファイルを作って,それをパソコンで送った後,UDBフルコンテンツ(HTML,PDF,JSON)の制作の全てをiPad上で行います。
PCで必要なアプリ
・MS-Word
iPadで必要なアプリ
・UDブラウザ
・Word
・LiquidLogic(テキストエディタ)
iPad用の外付けキーボードがあると作業がはかどる。

2020年5月15日金曜日

プラスマイナスくん(乗法と除法)

(-3)×(-3)を教える教え方にもいろいろあるだろう。

「いいか,+と+は,+」
「+と-は-」
「-と-は+」って覚えよう!

まぁ,それで納得する子供であればいいだろう。

でも,

自閉の傾向がある子供の中には,

「なんで!?」


と返ってくることが多い!

それに,大人は答えられるだろうか!

でも,これに丁寧に対応していかないと,勉強が好きな子になんてなれないと思いませんか?

「そうなってるんだ!」と


逆ギレ

してたのでは,子供の方に愛想を尽かされる。

そこで,うちの研究室で取り組んでいるのが,

プラスマイナスくん,

乗法
https://youtu.be/ThbmMDzoBlQ

除法 ver.2
https://youtu.be/SMQLImFOunc

ぜひ,ご参考に!

うちの研究室に学びにきている子供たちは,これを写真や動画にとって,PDFのワークシートに貼り付けて,考えられるようにしている!

子供に応じた学習環境!

考えていきたいですね。


参考
プラスマイナスくんの加法と減法
https://youtu.be/PjwHKUXo8hA

2020年5月13日水曜日

オンラインさんさん教室準備快調+ゼミ生が初オンライン学習支援をやりました!

本日,フルコマ(90分×5コマ)を乗り越え,明後日の,オンラインさんさん教室の予備実験,やや快調に進行中!!

このさんさん教室は,学習課題を通して,読み書きに困難のある発達障害や視覚障害の子供たちがタブレットを操作して,学習に取り組むことを身につけたり,忘れないようにすることを狙いとしています。
操作方法を単にショーケース的に教えても,実践では使えません。大人だってそうですよね。子供も同じです。実際の学習課題を設定することで,「ここではこの機能を使おう」とか,「ここは,ICTを使わない方がいい」といったことを考え,日常の学習に生かしていく力につながればと考えています。

そして,課題設定の基本は,家庭で準備できるものを使うことです。
大学であれば,理科の実験器具や算数・数学の教材はある程度揃えているのですが,オンラインとなると,家庭で調達できるもので考えないといけません。これがなかなかなんですね,実は!
でも,やりがいはあります!


本日は,ゼミ生が初めて,個別のオンライン学習支援を行いました。私はフルコマで立ち会えなかったのですが,概ね順調に進んだようです。
学生のみなさんにこういったオンライン学習支援を通して,操作方法やノウハウ,そして肝心なのは,オンラインならではの教材や指導法を身につけていただけることは,将来につながるな,と,信じています。



2004年には,オンライン板書システムを自作して授業で使っていた!!

なんと,2004年に,わたしが,当時自宅に置いていたサーバーで運用していた,オンライン板書システムの動画がでてきた!

明日の授業準備のために,過去の写真を探していたら偶然!!

当時は盲学校で教員をしていたので,音声ユーザー,拡大ユーザーの教師も生徒も利用できるシステムを自作するしかなかった。

まー、そもそも、遠隔授業なんて考え方も無かった時代。
Moodleが、始まったのが、1999年だからね。それは、オンデマンド式で、異空間、双方向の授業なんて考えが無かった時代。

自宅サーバーを持っていたので,php, MySQL, JavaScriptを中核にした,オンライン遠隔板書システムを自作していたんだなー。

なんという,時代の先取り!! 笑

今では,自分でコードを書く時間はとてもとてもとれなくなっちゃったけど,当時の,どうにかせんといかんという,熱量を感じるなー。

きっとこの動画は,説明用のPPTにくっつけるためにとったんだろうなー。なつかしー。声が若い!

2020年5月12日火曜日

オンラインさんさん教室(学習支援)4回


オンラインさんさん教室04
2020年5月12日クラス
オンラインでの学習支援の話です。
本日のテーマは「円を攻略しよう」です。
7名の方々のご参加をいただきました。
参加者のお一人のノートをご紹介します。
iPadを使ってお勉強すると,自力でこんなノートが作れるんですね!
これは,本日の振り返りで,私の授業後に一人で制作したものです。
環境が整えば,人はポテンシャルを最大限パフォーマンスに転換できる!
毎回,そのことを学ばせていただいており明日。
本日の学生の見学は7名!
これもすごい!v いよいよ,今週土曜日からは,学生が主指導(T1)でのオンライン学習支援が始まります!
学生の皆さんには,
こういう時だからこそ,学べることを,学んで,教壇に立って欲しいですね!


参加者が授業後に作成した振り返りノート


Zoomのユーザーがみている画面


こちらは,読み書きの道具を,紙と鉛筆から解放された小学5年生からの解答です!

この赤と青の縁とか,イソギンチャクみたいなのは,独自に作った教材のようです!


2020年5月10日日曜日

デジタル教科書と音声教材

デジタル教科書について,いよいよ今年度が元年ですね!

平成30年6月には,文部科学省初等中等教育局より「学校教育法等の一部を改正する法律の公布について(通知)」がだされましたことはここにお集まりの皆様でしたら,周知のことと存じます。
同通知の中で,以下のような記述があることはご存知でしょうか?

4.障害のある児童生徒等への配慮について
デジタル教科書の使用により,障害のある児童生徒等については,例えば,視覚障害や発達障害のある児童生徒等が,文字の拡大,色やフォントの変更,音声読み上げ等の機能を使用することにより,教科書の内容を理解しやすくなることや,肢体不自由の児童生徒が,目的のページに容易に移ることができるといった効果が期待されること。
しかし,少なくとも現時点では,デジタル教科書のみによって様々な障害のある児童生徒等の全てのニーズを満たすことは難しく,今後も,音声教材等が重要な役割を果たすこととなること。
このため,これらの活用を検討する際には,教科書関係事務主管部署のみではなく,特別支援教育関係事務主管部署とも連携を図り,障害のある児童生徒等のニーズを適切に把握することが重要であること。

そこで,文科省が力を入れているのが,音声教材です。

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/1374019.htm


デジタル教科書は,
https://www.mitsumura-tosho.co.jp/2020s_digital/common/pdf/mitsumura-tosho_2020s-digital.pdf
で私が指摘させていただいているように,
今までの,「教科書に合わせる」から「教科書を合わせる」ことによるインクルーシブ教育システムの推進です。

そして,それではまだ不十分な子供たちにとって音声教材は存在します。

実は,私たちの研究室でも音声教材の製作と提供を行っています。現在,全国の100名を超える児童生徒に提供しています。
もし,そういったコンテンツが必要という小ことがございましたら,
https://home.hiroshima-u.ac.jp/ujima/onsei/index.html
をご一読いただき,ご一報いただけましたら幸いです。

常に,子供にとっての最高を目指して!

2020年5月9日土曜日

オンライン学習支援の記録(第3回 三角形)


オンラインさんさん教室の記録 

学部4年 臼田 真優  

オンラインさんさん教室の目的は以下の通りです。
 この教育相談の狙いは,小学高学年から中学1年程度の内容を題材にして、オンラインでタブレットを用いた学習をする機会を定期的に持つことで、タブレットを用いた学習スキルの維持向上と、できれば学習への成功体験を積む経験を通して、休校措置後の学校再開への自信を醸成することです。

そのために考えていること。
・活動中に、タブレットを活用した学習スキルの獲得、定着を促す場面を設ける。
 (漢字の読み仮名を振る場面、書きやすいサイズに拡大して書く場面、記録を残す場面等)
・家庭で揃えることができる道具を使った活動、短時間で授業者が準備できる内容にする。
・タブレットの操作については、事前学習ビデオなどで練習できる機会を設ける。
 (GoodNotes の操作練習等)
・事前に準備について告知することで、学習するために主体的に準備することの大切さを学ぶ機会を作る。
・見通しを持って主体的に活動できるようにワークブックを作成する。
・ワークブックの章立ては一貫した体裁とし、安心して取り組めるようにする。
・ワークブックは文字の説明と併せて写真等の画像を用い視覚化教材を用いる。
・教室の最後は、振り返りの場面を作り、学びを共有し、促進する。
・教室の後に、学びが次に繋がるように発展的な内容を織り込む。





3回目(5月8日実施)の様子を紹介します。

1 事前:参加のための準備をしてもらいます。

事前に、以下のファイルを ML 経由で送って、道具を準備したり復習したりしてもらいます。
右下の2つのファイルについては、印刷して具体物を準備してもらいました。



これまでの学習を活かし、
・メールを受信する。
・メール添付のPDFGoodNotes5 に入れる。
・追加のメール添付のPDFGoodNotes5 に追加ページとして挿入する。
PDFを印刷する。
を事前に各自で行えました。



2 オンライン学習支援(当日)


当日ターゲットとした合理的配慮としての ICT のスキル内容は、
・カメラで写真を撮影する。
・写真をGoodNotes5に貼り付ける。
GoodNotes5にペンで書き込みをする。
GoodNotes5で書き込みをする際、「図形ツール」をつかって直線を引く。
・アプリ My Script Calculator を使って計算をする。
・アプリ My Script Calculator での計算式と結果をコピーして,GoodNotes5に貼り付ける。
Zoom の「手をあげる」機能を活用して自分の意思を伝える。
・ファイルをメール添付で送り返す。
です。

第1回・第2回と同様に、Zoom を使用し、利用者には作業用 iPadとZoom中継用のデバイスを準備して参加してもらいました。
授業者は、パソコンの拡張デスクトップをZoomで画面共有しました。 そこに、iPad の画面(Reflectorで中継)や、書画カメラなどを写しました。


最初に、右のプリントで事前に参加者が復習として取り組んでいた、各図形の名称を確認しました。その際に、参加者は、どうしてそう言えるのかについても説明をすることができました。発言は参加者が全員できるように配慮し、授業者が順番に促しました。
 参加者は、「(あ)は長方形。向かい合う辺が平行で、…。」と上手に言葉で説明することができました。“向かい合う辺”、“平行”など、先に発表した参加者の言葉を聞いて、ほかの参加者もキーワードを使って説明することができていました。
 また、下のプリントで図形の関係を整理しました。加えてマインドマッピングで思考が整理できるアプリSimpleMind +を紹介しました。



 次に、右のプリントで、様々な三角形の面積を求めました。
 参加者は、事前に送っていたPDFファイルを印刷して、具体物の三角形と方眼用紙を手元で操作し、操作した様子をカメラで撮影し、GoodNotes5に写真を貼り付け、文字を書き込みながら活動しました。これらの操作は、まず授業者がやってみせ、同時にその様子を言葉でも説明しました。




参加者A「三角形の面積は、四角形の半分になる。」
授業者「四角形はどこにできるの?」
参加者A「三角形の長さが等しい辺をあわせてください」
授業者「こうですか?(右の写真の状態)」
というやりとりがありました。



 今日のSTEP1の学習を思い出し、確かにこの形も四角形と言えることを確認しました。四角形である条件として、向かい合う辺が平行であるということが挙げられますが、そこで授業者が「この図形の辺が平行ってどうしてわかるの?」と問うと、方眼の線に沿う辺は平行と説明できるものの、もう一方の向かい合う辺についても平行であるという説明は難しいようでした。分度器がない状態なので角度は測れないという場面で、どうしたら平行が証明できるのか、悩んでいました。
 参加者の一人が、三角形の1つをずらしていき、重なるということで証明できるという考え方を説明してくれました。参加者が考えた後、授業者から、辺の傾き具合を方眼のマス数を使って確認する方法を説明しました。
 このようなことから、三角形を2つ合わせた図形は四角形であると言え、底辺×高さ÷2で三角形一つ分の面積が求められると確認しました。







 (い)(う)(え)の様々な三角形についても、(あ)と同様に、底辺×高さ÷2で求められるのか、考えました。
参加者は各自で、具体物を操作し、写真を撮り、GoodNotes5で書き込み、式を考えました。
 以下のプリントに写真を貼り付けたり書き込んだりして、各自考えをまとめられました。計算は、アプリMy Script Calculatorで検算をし、計算式と答えをスクリーンショットで撮影し、プリントに貼り付けました。個別に思考する時間は、以下の写真のようにタイマーをうつして共有し、活動に見通しが持てるようにしました。









 その後、考えたことを共有しました。
 発表する際には“cm”などの単位も忘れずに付けることを授業者が促し、参加者が何の数値を言っているのか本人や他の参加者にも明確になるよう配慮しました。
 参加者が各辺の長さを発表すると、授業者がiPad上でGoodNotes5に貼り付けた図形の写真に書き込んでいき、共有しました。Reflectorで中継してiPadの画面をパソコンに写し、その画面を画面共有することで、黒板のように参加者の考えをまとめて外化し共有することに効果的であったように思います。

 (あ)(い)(う)(え)の三角形の面積を確認すると、すべて面積が等しいことがわかりました。授業者が、どうして等しくなったのか問うと、「底辺と高さが同じだから」と答える参加者がいました。

 今回学習した三角形の面積の出し方が、これから学習する円の面積を求める際にも活用できることを伝え、今後の学習への関心を促しました。参加者は、授業者の説明をきいて、「おぉ〜」とこれからの学習に意欲を持っている様子でした。

3 事後:右のプリントに応用問題への解答を書き加えて、作成したファイルをメールで送ってもらいます。







2020年5月8日金曜日

正と負の数の加法と減法を攻略する

広島大学大学院人間社会科学研究科附属特別支援教育実践センターでは氏間和仁研究室も教育相談,学習支援を行なっております。

その中で,中学生の正の数と負の数の加法と減法の攻略について考えています。

まず,よく事例として登場するのは,数直線を用いた指導。

最近効果を感じているのは,
プラスマイナスくんです。

数直線と併用する両面刷の人形です。

1 まずは正の数だけの足し算と引き算
 数直線を用いて,+面だけで(小学生のときは,+がなくてもよい)使います。

足し算の場合,例 5+3

1 プラスマイナスくんを0に置く。
2 数直線の5に進める。
3 3を「+」(たす)ことを確認し
4 足すだから,3つ前進させる。

引き算の場合,例 9−4

1 プラスマイナスくんを0に置く
2 数直線で9に進める。
3 4を「-」(ひく)ことを確認し,
4 引くだから,4つ後進(バック)させる。

ここで大切なのは,プラスは,前進,マイナスは後進というイメージを共有すること。
もし,数直線だけで難しいようであれば,数挑戦を用いる前に,教室の床に大きな数直線をテープで貼って,子供自身が動いて,
「9+5」だから,まず9へ行こう
つぎ,五を足すんだけど,前に進む? 後ろに進む?などといったやりとりをしてみよう。
十中八九,足すだと前進,引くだと後進するだろう。


中学生になって,正の数と負の数が登場したら,両面刷のプラスマイナスくんを使おう。
正の数,負の数の符号はでプラスとマイナスの面を切り替える。
足すと,引くでの前進と後進は,先と同じ。

例 15+(-4)
1 プラスマイナスくんを0に置く
2 15だから,数直線の15に進む。
3 符号がマイナスなので,マイナス面にする
4 4つ足すから,4つ進む
5 自然と,11に止まる


例 -3+(-5)
1 プラ数マイナスくんを0に置く
2 -3だから,マイナス面にしてマイナス3に進める
3 マイナス5なので,マイナス面を出す
4 -5だから,マイナス面のままで
5 足すかだから,5進める
6 自然と-8に止まる

例 +20-(-19)
1 プラスマイナスくんを0に置く
2 +20なのでプラス面のまま,20まで進む
3 -19なので,マイナス面にする
4 引くなので,19バックする
5 自然と39に止まる

ゼミ生の大学院生が家庭教師で使って助言を受けて,目をつけるのも良いようです。

大切なのは,

プラスで,進む
マイナスで,下がる

という感覚を共有することです。
これを教え込んではもとも子もありません。

困っている生徒がいたら,
ぜひ,一度試してみてください。

小学生の算数でも,効果的です。


操作方法の動画



プラスマイナスくん 数直線のPDFファイル

http://home.hiroshima-u.ac.jp/ujima/kyouzai/purasumainasukun.pdf

小数点がある数直線のPDFファイル

https://home.hiroshima-u.ac.jp/ujima/kyouzai/suutyokusen.pdf

私たちは,単に,このアプリが良いといったことだけでなく,効果的な教材を組み合わせて,学習法や教授法をご提案しています。


ご感想歓迎です!
・・・・・・<ご感想を頂戴しました>・・・・・・
こんばんは。 夜分に失礼いたします。 本年度の中1に、早速プラスマイナス君を使用させていただきました。 手元に数直線があること、左右どの方向に動いたらいいのかが実際に分かりやすいこと等、例年の中1達と比べ非常にスムーズに理解にいきつき、びっくりしています。そして、自分でプラスマイナス君が移動できるので、説明の際に指導者が毎回紙の端に数直線を書かずにすみ、全体指導としてもてもスムーズに進みます。 加減法は教科書の説明も難しく、通常発達でも方向感覚に苦手を持つ生徒さんは、特に混乱する子が多い箇所です。 また、プラスマイナス君に髪の毛を書いたり、それぞれ自分オリジナルのキャラクターにすることによりキャラクターに親近感がわき、それも楽しんくれる所のようでした。 これからも使用させていただきたいと思います。 本当に有難うございました! ひとまずお礼まで…

(兵庫県・F先生)