2018年7月31日火曜日

【告知】第11回 発達障害教育ICT活用研修会


11回 発達障害教育ICT活用研修会
2018727日版
テーマ:「発達障害者用タブレット導入指導プログラム」をマスターしよう。
日時:2018101日(月) 9時〜13
場所:広島市総合福祉センター 6階 ボランティア研修室
広島市南区松原町5-1BIG FRONT ひろしま)広島駅から地下道で接続
電話:082-264-6420
HPhttp://shakyo-hiroshima.jp/riyou/index.html
※研修内容に関することを社会福祉センターに問い合わせないでください。
主催:氏間研究室(広島大学大学院教育学研究科)・視覚障害教育ICT活用研究会
対象:特別支援教育でタブレット活用を学びたい,学校の教員
定員:20名(2名で1台のiPadを準備しています)
先着順で受け付けます。定員を超過した場合,参加いただけません。
費用:参加費は無料
講師:氏間和仁(広島大学大学院教育学研究科 准教授)
内容:   9:30-11:00       発達障害者用タブレット導入指導プログラムの演習
                                教育相談の実践から生まれた,指導プログラムを体験します。
           11:15-12:45       読み書き支援のアプリバッテリーの演習
                                読み書きを支援するアプリバッテリーを体験します。
           12:45-13:00       質疑,閉会
概要:広島大学 氏間研究室は,年間250ケース以上の指導実績があり,そのうち,100ケースを上回る発達障害の方の利用があります。この豊富な実績から,タブレットによる解決策を指導する中で,共通する課題と指導法をまとめたのが「発達障害者用タブレット導入指導プログラム」です。本プログラムは45×5回で構成されています。今回の研修では,このプログラムの説明と,発達障害教育の中でニーズの多い読み書きの解決のためのアプリバッテリー(アプリの組み合わせ)について演習を交えて研修を行います。
申込:以下の申し込みフォームからお願いします。
   https://ws.formzu.net/fgen/S71820073/
   申し込み期限は,開催日の前日までです。


2018年7月25日水曜日

授業 視覚障害心理 第15講


授業 視覚障害心理 第15

本日は,これまで学んできたこととは,色彩を変えて,特別支援教育と合理的配慮についてをテーマに授業を構成しました。
 これまで学んできたことは,合理的配慮を得るための基盤的知識になることを理解してほしいなーと思ったのですが,コメントシートを読むと,それよりも,最後に見た松谷さんのTEDのインパクトが相当強かったようです。



 ”「障害」は社会の中にある”というVTRの中の言葉がとても印象的でした。
 大多数の人が考えているから,感じているから,常識と思われてしまうことも,実はそうでないことを,改めて感じました。 障害について,まだまだ未熟です。「私にとっての特別支援教育は?」という問いは,これから4年間かけて,じっくりと答えを考えていきたいと思います。 氏間先生,視覚障害心理学の講義,ありがとうごさいました。これからも引き続き,よろしくお願いいたします。

理的配慮はみんなが平等に過ごせるためにあるもので、柔軟な対応が必要になると思いました。全ての人が不自由なく過ごすことができるようになるには、膨大な技術や配慮が必要となりますが、少しずつでもみんなが過ごしやすい環境になっていくように努力shて行くべきだと思いました。最後に見た映像の男の子が「障がい」は社会の中にあるといった言葉が印象に残りました。社会が変わる必要が大いにあると思ました。条約を作るだけで終わるのではなく、行動に移してこそこの社会は変わっていくのだと思いました。

今後特別支援教育の専門家になり、多様な人たちと関わっていくにあたって心に残る授業であったように思う。障害とはどういったことを言うのか等についても考えさせられた。今後とも思考し続け、様々な人と関わっていきたい。

授業で配慮について考えてみると、自分がまだまだ見えていないものがあったと感じた。これから専門的にもっと知識をつけていくうえで、社会の現状と自分がいまやるべきことをしっかりと考えていこうと思った。

視覚障害心理学を学ぶ前は、自分は普通の人よりも知識があるほうだと思っていました。でも、全然そんなことなくて、むしろ普通の人よりも知らないことのほうが多いんじゃないかと考えさせられました。偽善者ではなく障害にしっかりと向き合って子供たちと一緒に乗り越えていけるような教師になりたいと思いました。

母親が小学校の特別支援学級の教員をしているのですが、その母が「障害はその人自身にあるんじゃなくて、その人にとって社会が障害になっているという意味だと思う」という話をしてくれたことがありました。それを聞いた時私の中の障害という概念が大きく変わったことを覚えています。今日の授業を聞いて、ますますその考えを深め、強く持てるようになりました。今私たちがしなくてはならないことが自分の中で明確になりました。
この授業を忘れずにこれから学びを深めていきたいです。ありがとうございました。

合理的配慮を考える上で、自分たちはすでに配慮されているということに気がつき、自分の中で大きな考え方の変化をもたらしてくれました。子供によりそえる教師になりたいと思いました。

私も軽く「障がいって個性だよね。」と言っていた一人です。この授業を受けてとても申し訳ない気持ちになりました。障がいがある人のことを理解してあげられるつもりになっていたことを恥じます。私が障害をつくりだしていたことを理解し、周囲の障がいを見つけ出し、取り払う努力をしたいです。頑張ります。

合理的配慮という言葉は知っていたけど、説明が難しくて、ぼんやりとしか理解することができていませんでした。でも、今日の健常者は十分に配慮されている人、障害者はそうでない人、それを平等にするためのものという説明がしっくりきました。十分な配慮があれば、障害は個性に代わるという言葉がとても心に残りました。

授業冒頭の障害者は配慮されていない人、つまり周囲の社会環境が障害の有無を生み出しているという考えは、今まで考えたことがなかったためとても心に残るとともに改めて自分の考え方について考え直させられました。
これからは、今日の授業で学んだことをモットーに、学びを深め、発信していく立場になりたいです。

障害は環境が決めている、社会の中にあるという言葉にとても納得しました。私は、少数派への配慮を考えられる教師になりたいと思いました。また、少数派の人が、もっとこうしてほしいと自由に言える社会になってほしいと思いました。







2018年7月24日火曜日

授業 視覚障害「自立活動」指導法I 第14講(学部2年)

授業 視覚障害「自立活動」指導法I 第14講(学部2年)
本日は,単眼鏡の第2回目。選定と評価の概要を取り扱いました。

写真1

本日の教材たちです。

写真2
はじめに,アイポイント,アイレリーフの話をしました。特にケプラー型の場合は,接眼レンズから出た光が最大収束するアイレリーフの位置が重要であることを実感してもらうことが狙いです。それが理解できていると,メガネをかけて単眼鏡を利用する際,目当てゴムを折り返す原理が理解できます。

写真3
対物レンズの下半分を紙で覆い隠し,のぞいているところです。そもそもケプラー式の単眼鏡の場合,対物レンズの直径は,視野の広さに関係ないことを理解してもらうために,対物レンズの半分を覆って見てもらいます。覆っても,視野は欠けません。像は暗くなりますが。なぜなら,ケプラー式の場合,対物レンズの実像を拡大しているからです。この光学的な基本原理(1年生で履修済み)がわかっていると,理解できますが,ここでは,単眼鏡で実際に体験してもらいます。
現在,盲学校の単眼鏡の都市伝説で「単眼鏡の視野を広くしたいなら,対物レンズを大きくすれば良い。」といったものがありますが,これは間違っていることを理解してもらうことが狙いです。あくまでも,対物レンズが大きいのは倍率が同じ場合,射出瞳の直径が大きくするためであることを確認します。(対物レンズが大きいとレンズ内の視野レンズの直径が大きくなるので,結果的に,視野が広くなることはありますが,仕様として,一律にそうなっていないことからも理解できますよね。)

写真4
近距離用アタッチメントの理解として,10Dのレンズを配って,10Dのレンズの10cmに読み物をもってくると,平行光線がでてくるので,それを単眼鏡で捉える原理を理解してもらいました。その前に,どこまで近づいてもピントが合うのかを体験し,その際,なぜ,視距離が短くなると,つつの長さを長くするのかについては,光路図で抑えてあります。対物レンズの像点距離が大きくなると,当然,接眼レンズを下げないとピントが合わないよね! という部分です。 その上で,「でも,単眼鏡の長さにも限りがあるからね」という切り口で,近用アタッチメントの話をします。

写真5
これは,おまけとして,逆単眼鏡法について,説明します。

写真6
おなじみの,シミュレーションでの視力検査です。単眼鏡でも測ってます。

写真7
単眼鏡を使っての,視力検査です。これで,倍率を計算して,パフォーマンスを考えます。ピント合わせの技量と,見えにく中でピントわせすることの大変さを味わって考えてもらいます。

写真8
ピント合わせるだけではなくて,実際,晴眼者の中で使っていくためには,どの程度のパフォーマンスが求められるのかを,測っておくことが大切だということで,数字視写テストの方法を今回は体験してもらいました。

これらの,弱視レンズの選定や練習方法の,さらに専門的な内容は,2年後期の視覚障害測定法,3年後期の視覚管理でさらに少人数で取り扱います。

以下コメントシートより。
・子供達が見えやすいかどうかだけでなく、授業や日常生活などの場面で効果的に活動できるように子供の能力を考慮して教師側が適切に行動することが必要であることがわかりました。 学校場面だけでなく、日常生活でも思いやりがある行動のできる人になりたいです。

・ケプラー型の単眼鏡は、発散光線を見るときはレンズを遠ざけて、ぴんとをあわせることが分かった。

・単眼鏡を実際に使うことで、像点の関係や入ってくる光線のことへの理解が深まりました。まだ知識が固まっていないところがあり、どこが分からないのかも分からない状態なので、しっかりと復習をして、知識を身につけていきたいです。

・単眼鏡の選定の仕方を学んだ。近用アタッチメントの使い方を学んだ。単眼鏡の対物レンズを大きくするメリットがわかった。

・測定して出た値と、計算して出た値がほぼ同じだったため、当たり前のことですが、すごいと思いました。単眼鏡を使ったことにより、0.1だった視力が0.9まで上がりました。単眼鏡のすごさを知りました。

・単眼鏡を実際に使ってみて、遠くのものが見やすくなるという感覚がすごく気持ちよかったです。近くのものを見るときに闇雲にピントを合わせようとするのではなく、光線をイメージしてからやると、スムーズに合わせられるのだということを実感しました。単眼鏡を使うことで視力が上がったことに喜ぶだけでなく、しっかり実践の場でも役に立つように指導していく必要があることが分かりました。

・単眼鏡の選定について理解することができた。目標値を決めて必要倍率を計算するだけでなく、先に単眼鏡を用いて視力検査を行うことで、その単眼鏡があっているかどうかを確かめることもできるのだと思った。また、自分は計算上0.9の指標がみえるはずだったが、実際は0.8であった。これは、ピントの合わせ方の不慣れさなどが原因なのだと知って納得した。

・単眼鏡の選定は、前回行った拡大鏡の選定よりも、工程が少ない分わかりやすかったです。前回の授業でもあったように、測定結果だけを見て満足せず、そのあとの活動性について考えることの重要性を改めて感じました。

・単眼鏡について、実際に使ってみると見たい対象物を探したり、ピントを合わせたりすることが想像以上に難しく、疲れることであるということがわかりました。もの(数字)を見て、それを書こうとすると、プリントのどこに書けばよいか確かめるのに時間がかかり、そしてまた数字を見ようとするとわからなくなったり、ということがあり、また、使っているシャープペンの芯が出ているかどうか、字がきちんと書けているかどうかなどもわからないので、スムーズに行うことができませんでした。さまざまな配慮について、もっと学んでいきたいと思いました。

・単眼鏡でうまくピントを合わせることができていても、視野が狭まるせいで見たいものをなかなか見つけられなかったりしていて、 黒板と手元を交互に見たりするときが大変そうだと思いました。同じ黒板を見るときでも、黒板の端を見るときは距離が遠くなったりするし、いちいちピントを合わせないといけなくて大変だと思いました。

・射出瞳と倍率の関係が今回よくわかりました。また、視力を測ってこの指標が見えて視力はこれだね。で終わってしまうのではなくその視力で実際に学習するならどんな課題が生じるだろうかなどというところを考えるのに重点を置くのが大切だなと改めて思いました。

・実際に単眼鏡を通してスライドをみると、当然ながら晴眼状態よりも視野が制限されるため、それだけでスライドを理解しようとすると、時間がかなりかかりました。単眼鏡の使用に関しても、視力・ピントの観点での「見える」だけでなく、それを使って生活や学習をすることができるかの「見える」で教育的に評価することが大切だと改めて理解しました。

・単眼鏡を使うことでより小さい視力指標をみることができていたのでそれだけもすごいと思っていましたが、大切なのは見えたということを日常に生かして使うことができるということだと知り、まだまだ科学的な想像力が足りていないと思いました。また、どの講義においても言えることですが、既習のものは確実に身につけて使えるようにならなければ意味がないと思ったので復習します。

・ケプラー型の単眼鏡は、レンズの一部でも使えると実像が成立し、視界は狭くならないが、暗くなるということが分かった。また、アイポイントが太いと単眼鏡を使うのが初めてという人や中心暗点のある人にとって助かるということをおさえておきたい。

・単眼鏡でピントを合わせるのがとても大変でした。対物レンズの大きさは、射出瞳の直径に比例するということがわかりました。

・ケプラー型単眼鏡の仕組みが前の授業で学んだ時よりも理解できました。単眼鏡が平行光線にピントがあっていても近用アタッチメントを使えば見ることができると言うことがわかり、視覚障害児への教育に活用できると思いました。

・単純な視力値だけでなく、実践の場でどれだけ生かすことができるかもきちんと考慮しなくてはならないということに気づきました。視写をしている場面を観察していると、真ん中の方の列になると、その列を探すために時間を要してしまっていたので、板書するときに列番号を振っておいたりと配慮を考えることが大切だと思いました。

・ケプラー型の単眼鏡は対物レンズの大きさが変わることで視野の大きさは変わらないが明るさが変わり、射出瞳の大きさが変わることが分かった。また、対物レンズの大きさが大きくなると射出瞳も大きくなることで瞳が動いても射出瞳に引っ掛かりやすくなることが分かった。

・光学系の内容が頭の中でごちゃついているので、これまで学習したことを整理していこうと思います。視写の検査は一般の視力検査よりも実用性が高いので、教育的な要素が強いと感じました。知識がないけど愛想がいい教師より、多少不愛想でも専門性がある教師に子どもを預けたいとう言葉がとても印象にのこりました…。

・単眼鏡の選定における方法から見えた「ねらい」について、 よく見えればOK、つまりただ改善できれば良いのではなく、実用していくため、ここでは円滑に学習を進めるためであることを知りました。そこから講義で扱う内容は特別支援の手段であり、子どもがよりよく学ぶことが目的なのだから、それを知っていると考えることはまた変わってくると感じました。


本日も,良い学びをありがとうございました。


さぁ,最後の15講と最終試験を残すのみとなりました。最後まで,頑張りましょう!

2018年7月20日金曜日

授業 視覚障害「自立活動」指導法I 第13講 角度拡大法の基礎

学部2年 視覚障害「自立活動」指導法Iの授業 第13講が終わりました。
本日は、網膜像の拡大法のうち、角度拡大法の基礎 をテーマにしました。
つまりは、単眼鏡の基礎です。

まずはじめに、ケプラー式とガリレ式の望遠鏡の光路図でお勉強です。対物レンズの実像よりも凹レンズを前において拡大する方式と、実像より後ろに凸レンズを置いて拡大する方式を、一人一人に模型を配って、確認しました。
光路図だけよりも、体験を入れることで、よく理解できるようですね。でも、光路図で理解しているから、視距離を縮めたときに、対物レンズと接眼レンズの距離を長くしないといけないことが理解できます。どちらも大切。
特に、ケプラー式のアイレリーフの話のところで接眼レンズいっぱいに対物レンズの像が見える時は、皆さん感動したようです。
ケプラー式、おそるべし!
この、模型は、対物レンズが+3Dで、接眼レンズが、-10Dと+10Dなので、同じ倍率で、見え方の違いを比較することができるので、とても便利です。
そして、単眼鏡の表示と、解説。
次に、屈折異常が未矯正の場合の、拡大率について。
ここは、指導上、もっとも重要なところ。つまり、子供の合わせた単眼鏡のピントがあっているかどうか、判断するときに、この知識がないと、間違った指導になってしまいますからね!
というところの、前で、時間切れ! 続きは、次回です。
以下、コメントシートより。
ケプラー型の単眼鏡で距離を調節して視界が広がる点や、実際には2つのプリズムで倒立像を矯正する点に驚きました。有効なモノがあることも素晴らしいですが、さらなる創意工夫によって実用的になるためです。教材開発にも同様のことが考えられると思いました、この気づきを覚えておきます。
ガリレイ型とケプラー型の単眼鏡について学習しました。実際に体験したり、手軽に買うことができる双眼鏡のお話を聞いたり、身近なものの例から学びを深めることができました。また、両者を比較することでより深い理解につながったと思います。
ケプラー型、ガリレイ型、どちらも理論的に言葉で説明することが難しいので復習します。
ケプラー型でかつ、接眼レンズから目を離してみた時に顕微鏡で物を観察した時のような見え方になったと感じたので、もしかすると仕組みが似ているのかなと思いました。
単眼鏡のガリレイ型とケプラー型の仕組みを理解するのは難しかったが、友達に教えてもらってようやくわかったのですっきりした。
単眼鏡の仕組みについての複雑な話だったので頭がこんがらがりそうになりましたが何とかなりました。この授業では、近視や遠視の人の見え方などを実際にシミュレーションして実感を伴いながら学習できるので楽しいです。もう一度光学の復習をしなければならないなと感じました。
ガリレイ型とケプラー型を高校物理を思い出しながら学習しました。ガリレイ型に凸レンズを加えると、倍率が下がるというのは原理も含めて理解できました。このことは特に弱視児に指導するときに配慮が必要になると思いました。
単眼鏡の種類と構造で、ガリレイ型とケプラー型があるということを学びました。ガリレイ型は、虚像を拡大して正立させ、ケプラー型は実像を拡大して、倒立させるということを覚えておこうと思いました。ケプラー型で目を離すと視界が広がるのはすごかったです。


写真の解説
写真1
ガリレイ式望遠鏡の模型を見て、原理を体験している様子。

写真2
ケプラー式を体験した後に、それまでの内容についてグループ内、知識の確認をしているところ。この時間は、学生たちの理解を深めたり、全体のそこあげをするのに、とても大切です。

写真3
アイレリーフの距離をとって、見ているところ。

写真
近視未矯正で倍率の変化を体験しているところ。

2018年7月18日水曜日

授業 視覚障害心理学 第14講  点字触読特性と指導法

本日,1年生の授業,視覚障害心理学 第14講が終了しました。
本日は,点字触読特性と指導法について,瀬尾先生の論文と,鈴木先生の論文をベースに授業を構成しました。

なにはさておき,本日は,まず,鈴木式の第一段階「あめふれういにく」の練習をしました。みなさん,15分程度で,どんどんん読めるようになってきくので,とても嬉しかったようです。これについては,以下のコメントシートをご覧ください。

1の点や2の点から教えなくても,形で教えることの大切さと,その合理性が伝わったかなと思います。
1点と,縦長長方形がわかれば,「雨」は読めますからね!それを理解してもらえれば十分です。点字学習のハードルを勝手に大人が上げてしまわないように!

文字は,大人が決めるのではなく,子供の好奇心で,その学習のタイミングは決められるものですもんね! 「あいうえお」と文字を読めるようになる子供なんていないでしょう。まずは,自分の名前とか,でしょ! ってことですね。
点字にしたってそうですよね! 大人が,点字学習を制限するのは,自然ではないですよね!
今年は,点字指導について,高知盲学校の構内研修で取り上げます。

以下,コメントシートより

点字をたくさん読む練習をした。ほとんど読めないだろうと思っていたが、簡単な平仮名から読んでいくことで意外とスラスラ読むことができてよかった。

目で見ていた時は、点字をとても難しく感じていましたが、実際にアイマスクをして点字を読んでみると簡単で、楽しく感じました。「あ」「め」「ふ」「れ」は完璧になったと思います。私が実際に教える際もこの方法でやりたいと思いました。

今までどうやったら読めるのだろうと不思議に思っていた点字を順を追って学習することで読むことができた。何の学習においてもたいていの人にとって同様に、理解のしやすい順序があり、それをうまく使いステップアップしていくようにすることで飽きをあまり感じさせない学びに繋がると思った。

点字を読んで、最初は分かりにくい部分もあったけど同じところを何回もやっていくとすらすらできていけるようになりました。また、先生の立場になったときどうしたら飽きないように教えられるか難しかったです。

少しではあるが,点字が読めたと言うことにとても感動しました。いつの日か,たくさんの点字が知覚できるようになって,すらすらと点字の文章が読めると良いなと,心から思いました。

点字を読むのはもっと難しいことかと思っていたけれど、簡単な文字とはいえ少しでも読めるようになったことが不思議で、楽しかったです。形態の認識があれば、幼児でも点字を読める事が驚きでした。3つの原則を使って、小さな子にも楽しく点字指導ができるような理想的な先生になりたいです。

初めて点字が読めるようになってとても嬉しかった。指導するときにはその子の興味関心に沿って点字の形を教えてあげたりすることが大切だと思いました。 「く」の後に「あ」があると読みにくいなと思いました。

点字をこんなに早く覚えられると思いませんでした。 でも、一文字一文字は読めるけど文を読むのは大変だなと思いました。

点字の学習をした記憶がなかったのでいい経験になった。五十音全てを覚えたい

点字が少しの文字なら思ったよりも早く習得できることに驚きました。テストに向けた復習・まとめを頑張りたいです。

後半から点字の体験をしたが、「あ」と「く」の点字の組み合わせが一番難しかった。意外に「あ」の識別が難しかった。とパートナーに言われた。

点字と点字の間を把握するのが難しかったです。もっと点字を読めるようになりたいです。

点字を読み取るのは結構面白かったです。でも、どういえばうまく伝わるのかと考えて教えるのは、難しかったです。点字を覚えたいなと思いました。

点字が少しだけ読めるようになりました。”あ”と”う”が横に並ぶと読み取りが難しかったです。ペアの子に点字の形を伝えるのは難しかったです。

前回の授業で点字を触る体験を行った。今日はその点字に意味や役割が付与され、文字として実用的になった点字を読むという体験を行った。点字をずっと触っていると、指先の感覚がだんだん無くなっていくような感じがあるし、私はまだ読み慣れていないので、触って、そして文字が何を意味しているのか考える、という二つの作業を行わなければいけなくて、すごく大変だった。点字を習得するためにはもっと訓練が必要だと強く感じた。

前回の点字体験は難しいと感じたが、今回の体験では二文字を読んでいく活動で、かつ指導者がたくさんほめてくれたのでやりやすかった。

実際に点字を触ってみてなかなか難しいと思いました。字と字の間の間隔の広さも大きいとわかりやすいが、小さくなると区別がつきにくく難しかったです。点字の指導の仕方を実際に学ぶことでどう指導すれば良いか具体的に考えることができました。どこに凸があるかを説明するのは年齢やその人個々人に合わせて行く必要があると思いました。

点字の練習で、私は前半に小学生役をしました。塊で読もうとすると読み落としがありそうで難しかったです。後半の先生役の時は、相手の指を持ってしまっていたので以後気を付けます。点字の学習も五十音順にやると思っていたので、簡単な点字から勉強するのは意外でした。

先生としての立場で生徒に点字を楽しく、分かりやすく教えるためには教師の計画性や工夫が必要だと分かりました。

ビデオ解説
前半は指導初期,後半は指導後期(5分後)です。 数分で,ここまで読めるようになるのだから,大したもんです。

2018年7月17日火曜日

視覚障害「自立活動」指導法I 第11講・12講

本日の,視覚障害「自立活動」指導法Iの授業です。本日は,先週,台湾出張だったため,5・6コマ(16時20分から19時35分)で授業を行いました。学生のみなさんがよく了解してくれます。
本日は,第11講・12講,視覚支援法の中の,相対距離拡大法のお話でした。はじめに,ICFの話で,支援についてみなさんと議論しました。
支援というと,環境因子へのアプロートに眼が行きがちだが,滑動性を上げる視点も大事だよねー。といったことで,合意を得て,拡大鏡の話へと入って行きました。

拡大鏡の選定手順として,私の授業で抑えているのは,
1 近見視力の実測
2 必要倍率の計算
3 必要視距離の計算
4 必要な屈折力の計算と拡大鏡の選定
選定後,拡大鏡が適正に利用できているか,実測する。
といった手順,シンプルなのですが,学生のみなさんにとっては,なかなか難解な模様。なので,グループの中で,役割を変えて,何度も何度も,体験してもらいます。ゴーグルも2種類をかけかえて,やってもらいます。

そうして,選定した拡大鏡で,ランドルト環を読んだり,本を読んだりしてもらいます。やはり,本を読むと,いろいろと思うところがあることが,感想文からわかります。

その後,ランドルト環の字詰まり指標を用いた,トレーニング法をみんなで体験して見ます。
すると,1回目より3回目の方が,小さい視標まで酔えるようになって行きます。視距離の取り方と,視標の動かし方が身につきます。とても簡易で,実効性の高い方法だと思っています。

以下,超えんとシートより。

今まで学習してきた知識は、環境因子に働きかけるものであり、子どもの将来のことを考えると、それだけに頼ってしまうのは良くないと感じました。拡大鏡の使い方を身につけるなどの「活動」を向上させることも指導していく必要性を強く感じました。拡大鏡を用いることで見えやすさが大きく違ってくることを、体験的に学ぶことができました。

どう支援するか、について、教師が整えることのできる環境因子が大切だと思っていましたが、それだけでなく活動性の向上も重要なのだということがわかりました。教師の独りよがりにならないような支援を考えていかなければならないのだと感じました。
拡大鏡について、拡大鏡を使えば簡単に大きく見えるようになると思っていましたが、しっかりとピントを合わせるのは難しく、思った以上に目が疲れる作業でした。実際にやってみなければわからないことがたくさんあると改めて感じました。

屈折力や焦点距離など1年生の時の計算の仕方や近見距離の測り方など今までやったことをまとめたり新しい計算の仕方が合わさっていて理解するのに時間がかかったけどグループの人に聞いて理解できて、記録するときに聞いて実践しながらできたからよかった。

拡大鏡の選定の仕方を初めて知りました。いろいろな手順があって覚えることが大変そうです。必要倍率と必要視距離の求め方が特に混乱しそうです。今回の小テストは自信があったけど、解答を見ると3つ間違えていたのでショックでした。次回も頑張りたいです。

単眼鏡の選定方法について実際に測定からすることで理解することができた。ところどころ戸惑うところもあったが、何度か繰り返すうちにスムーズに測定、選定することができるようになった。実際に選定した単眼鏡を使うと、ランドルト環や雑誌の小さな文字も読めて感動した。

実際に見れるように計算するということは、とても実践的でした。
また環境因子は教師の配慮によって変わるということがわかったので、子供がどのように見えているかを子供の目線で考えることが必要だと思いました。

拡大鏡の選定を行うことで、子どもの目と見る対象のものの適切な距離を知ることができるので、支援するとき、子どもの実態を把握したうえで行うことができると感じた。
また、実際に光などの環境を変えて試してみることでどのような環境がより弱視者にとって見やすいのかを体験的に分かるので、いろんな条件で試していくことが大切だと思った。


環境因子を整えることは大切だが、全てを準備してしまうと将来困ることが多いと思うので、自分で活動できる力をつける支援をすることも大切だと思いました。その中でも、基本的な環境を整えることで学習しやすくなるので、今日学んだ環境の整え方を活かしていきたいです。

ランドルト環の指標を見る分には変化はありませんでしたが、雑誌などの文章を追っていくときには、ライトの有無による違いが顕著でした。
環境や条件によって得られるものは変わってくるという気づきが大きかったと同時に、それらの気づきを多く発見できることは科学的想像力を養っていく一歩だと感じました。


実際に拡大鏡を使用してみると、くっきりと映っており、分かりやすかった。しかし、視野が狭いので読みにくさもあった

拡大鏡の電気ありとなしでは、見え方が全然違った。環境因子を変えるだけではなく、拡大鏡みたいな器具を使うことで見えることができるということが体験できた。

拡大するにも、いくつか種類があり、時と場合に合わせて適切な拡大法を選別することが大切だということが分かりました。

拡大鏡の選別では、自分に合った拡大鏡がなかったので、小さい倍率の拡大鏡を使ました。拡大鏡を使うとどうしても視野が狭くなってしまうので、自分がどこを今読んでいるのかが分かりづらかったです。このことを踏まえて、弱視の子供への支援方法を考えていかなければいけないと思いました。

ICFの考え方で、活動因子に目を向けることが重要であると学びました。環境因子を変えることでその子供の困難が改善するとしても、その支援が将来も継続できないものであるならば、活動の方に視点を移して考えるべきだと感じました。

どのように支援するかというところで、環境因子を教師が科学的想像力によって支援していくことは大切なことではありますが、子供たちがその支援があって当た



り前であると考えないように支援の仕方を考えないといけないと思いました。

測定した視力値によっては、拡大鏡適応範囲外で、タブレットなどを用いて拡大する必要があることが分かった





写真の説明

写真1

本日使用する,拡大鏡のセットを並べている様子。



写真2

選定した拡大鏡で本を読んでいる様子。

私は,片手で持てる程度のものであれば,手でもって,そして,その手を動かして読むことをお勧めしています。これが,紙を置いて読むよりも,めちゃくちゃ速く読めます。



写真3

こちらは,本を置いて読んでいるところ。


写真4

これが,近見視表のランドルト環でトレーニングしているところ。これが,結構いいです。拡大鏡のトレーニングって,これを毎日やれば,十分だと思います。