2018年7月24日火曜日

授業 視覚障害「自立活動」指導法I 第14講(学部2年)

授業 視覚障害「自立活動」指導法I 第14講(学部2年)
本日は,単眼鏡の第2回目。選定と評価の概要を取り扱いました。

写真1

本日の教材たちです。

写真2
はじめに,アイポイント,アイレリーフの話をしました。特にケプラー型の場合は,接眼レンズから出た光が最大収束するアイレリーフの位置が重要であることを実感してもらうことが狙いです。それが理解できていると,メガネをかけて単眼鏡を利用する際,目当てゴムを折り返す原理が理解できます。

写真3
対物レンズの下半分を紙で覆い隠し,のぞいているところです。そもそもケプラー式の単眼鏡の場合,対物レンズの直径は,視野の広さに関係ないことを理解してもらうために,対物レンズの半分を覆って見てもらいます。覆っても,視野は欠けません。像は暗くなりますが。なぜなら,ケプラー式の場合,対物レンズの実像を拡大しているからです。この光学的な基本原理(1年生で履修済み)がわかっていると,理解できますが,ここでは,単眼鏡で実際に体験してもらいます。
現在,盲学校の単眼鏡の都市伝説で「単眼鏡の視野を広くしたいなら,対物レンズを大きくすれば良い。」といったものがありますが,これは間違っていることを理解してもらうことが狙いです。あくまでも,対物レンズが大きいのは倍率が同じ場合,射出瞳の直径が大きくするためであることを確認します。(対物レンズが大きいとレンズ内の視野レンズの直径が大きくなるので,結果的に,視野が広くなることはありますが,仕様として,一律にそうなっていないことからも理解できますよね。)

写真4
近距離用アタッチメントの理解として,10Dのレンズを配って,10Dのレンズの10cmに読み物をもってくると,平行光線がでてくるので,それを単眼鏡で捉える原理を理解してもらいました。その前に,どこまで近づいてもピントが合うのかを体験し,その際,なぜ,視距離が短くなると,つつの長さを長くするのかについては,光路図で抑えてあります。対物レンズの像点距離が大きくなると,当然,接眼レンズを下げないとピントが合わないよね! という部分です。 その上で,「でも,単眼鏡の長さにも限りがあるからね」という切り口で,近用アタッチメントの話をします。

写真5
これは,おまけとして,逆単眼鏡法について,説明します。

写真6
おなじみの,シミュレーションでの視力検査です。単眼鏡でも測ってます。

写真7
単眼鏡を使っての,視力検査です。これで,倍率を計算して,パフォーマンスを考えます。ピント合わせの技量と,見えにく中でピントわせすることの大変さを味わって考えてもらいます。

写真8
ピント合わせるだけではなくて,実際,晴眼者の中で使っていくためには,どの程度のパフォーマンスが求められるのかを,測っておくことが大切だということで,数字視写テストの方法を今回は体験してもらいました。

これらの,弱視レンズの選定や練習方法の,さらに専門的な内容は,2年後期の視覚障害測定法,3年後期の視覚管理でさらに少人数で取り扱います。

以下コメントシートより。
・子供達が見えやすいかどうかだけでなく、授業や日常生活などの場面で効果的に活動できるように子供の能力を考慮して教師側が適切に行動することが必要であることがわかりました。 学校場面だけでなく、日常生活でも思いやりがある行動のできる人になりたいです。

・ケプラー型の単眼鏡は、発散光線を見るときはレンズを遠ざけて、ぴんとをあわせることが分かった。

・単眼鏡を実際に使うことで、像点の関係や入ってくる光線のことへの理解が深まりました。まだ知識が固まっていないところがあり、どこが分からないのかも分からない状態なので、しっかりと復習をして、知識を身につけていきたいです。

・単眼鏡の選定の仕方を学んだ。近用アタッチメントの使い方を学んだ。単眼鏡の対物レンズを大きくするメリットがわかった。

・測定して出た値と、計算して出た値がほぼ同じだったため、当たり前のことですが、すごいと思いました。単眼鏡を使ったことにより、0.1だった視力が0.9まで上がりました。単眼鏡のすごさを知りました。

・単眼鏡を実際に使ってみて、遠くのものが見やすくなるという感覚がすごく気持ちよかったです。近くのものを見るときに闇雲にピントを合わせようとするのではなく、光線をイメージしてからやると、スムーズに合わせられるのだということを実感しました。単眼鏡を使うことで視力が上がったことに喜ぶだけでなく、しっかり実践の場でも役に立つように指導していく必要があることが分かりました。

・単眼鏡の選定について理解することができた。目標値を決めて必要倍率を計算するだけでなく、先に単眼鏡を用いて視力検査を行うことで、その単眼鏡があっているかどうかを確かめることもできるのだと思った。また、自分は計算上0.9の指標がみえるはずだったが、実際は0.8であった。これは、ピントの合わせ方の不慣れさなどが原因なのだと知って納得した。

・単眼鏡の選定は、前回行った拡大鏡の選定よりも、工程が少ない分わかりやすかったです。前回の授業でもあったように、測定結果だけを見て満足せず、そのあとの活動性について考えることの重要性を改めて感じました。

・単眼鏡について、実際に使ってみると見たい対象物を探したり、ピントを合わせたりすることが想像以上に難しく、疲れることであるということがわかりました。もの(数字)を見て、それを書こうとすると、プリントのどこに書けばよいか確かめるのに時間がかかり、そしてまた数字を見ようとするとわからなくなったり、ということがあり、また、使っているシャープペンの芯が出ているかどうか、字がきちんと書けているかどうかなどもわからないので、スムーズに行うことができませんでした。さまざまな配慮について、もっと学んでいきたいと思いました。

・単眼鏡でうまくピントを合わせることができていても、視野が狭まるせいで見たいものをなかなか見つけられなかったりしていて、 黒板と手元を交互に見たりするときが大変そうだと思いました。同じ黒板を見るときでも、黒板の端を見るときは距離が遠くなったりするし、いちいちピントを合わせないといけなくて大変だと思いました。

・射出瞳と倍率の関係が今回よくわかりました。また、視力を測ってこの指標が見えて視力はこれだね。で終わってしまうのではなくその視力で実際に学習するならどんな課題が生じるだろうかなどというところを考えるのに重点を置くのが大切だなと改めて思いました。

・実際に単眼鏡を通してスライドをみると、当然ながら晴眼状態よりも視野が制限されるため、それだけでスライドを理解しようとすると、時間がかなりかかりました。単眼鏡の使用に関しても、視力・ピントの観点での「見える」だけでなく、それを使って生活や学習をすることができるかの「見える」で教育的に評価することが大切だと改めて理解しました。

・単眼鏡を使うことでより小さい視力指標をみることができていたのでそれだけもすごいと思っていましたが、大切なのは見えたということを日常に生かして使うことができるということだと知り、まだまだ科学的な想像力が足りていないと思いました。また、どの講義においても言えることですが、既習のものは確実に身につけて使えるようにならなければ意味がないと思ったので復習します。

・ケプラー型の単眼鏡は、レンズの一部でも使えると実像が成立し、視界は狭くならないが、暗くなるということが分かった。また、アイポイントが太いと単眼鏡を使うのが初めてという人や中心暗点のある人にとって助かるということをおさえておきたい。

・単眼鏡でピントを合わせるのがとても大変でした。対物レンズの大きさは、射出瞳の直径に比例するということがわかりました。

・ケプラー型単眼鏡の仕組みが前の授業で学んだ時よりも理解できました。単眼鏡が平行光線にピントがあっていても近用アタッチメントを使えば見ることができると言うことがわかり、視覚障害児への教育に活用できると思いました。

・単純な視力値だけでなく、実践の場でどれだけ生かすことができるかもきちんと考慮しなくてはならないということに気づきました。視写をしている場面を観察していると、真ん中の方の列になると、その列を探すために時間を要してしまっていたので、板書するときに列番号を振っておいたりと配慮を考えることが大切だと思いました。

・ケプラー型の単眼鏡は対物レンズの大きさが変わることで視野の大きさは変わらないが明るさが変わり、射出瞳の大きさが変わることが分かった。また、対物レンズの大きさが大きくなると射出瞳も大きくなることで瞳が動いても射出瞳に引っ掛かりやすくなることが分かった。

・光学系の内容が頭の中でごちゃついているので、これまで学習したことを整理していこうと思います。視写の検査は一般の視力検査よりも実用性が高いので、教育的な要素が強いと感じました。知識がないけど愛想がいい教師より、多少不愛想でも専門性がある教師に子どもを預けたいとう言葉がとても印象にのこりました…。

・単眼鏡の選定における方法から見えた「ねらい」について、 よく見えればOK、つまりただ改善できれば良いのではなく、実用していくため、ここでは円滑に学習を進めるためであることを知りました。そこから講義で扱う内容は特別支援の手段であり、子どもがよりよく学ぶことが目的なのだから、それを知っていると考えることはまた変わってくると感じました。


本日も,良い学びをありがとうございました。


さぁ,最後の15講と最終試験を残すのみとなりました。最後まで,頑張りましょう!

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